Research and Development大容量キャパシタと私たちの技術
「大容量キャパシタはコンデンサ
なの?電池なの?」
キャパシタとは日本語ではコンデンサです。電池ではありません。でも、何故、わざわざ「大容量」という文字をつけるのでしょう。日本では電気を蓄える電子部品を「コンデンサ」と呼称しています。
英語での呼称は「capacitor(キャパシタ)」です。
コンデンサを容量別に小容量から大容量まで分類すると「フィルムコンデンサ→セラミックコンデンサ→アルミ電解コンデンサ→電気二重層コンデンサ」です。その差は実に㎌~Fですから百万倍以上の差です。そして、電気二重層コンデンサをあえて「大容量キャパシタ」と呼称しています。
大容量キャパシタの実用化は1970年代です。同時代にニッケル水素電池やリチウムイオン電池も実用化が始まりました。当時はどのデバイスが世に多く採用されるか注目されていました。そして、半世紀が過ぎましたが、今では圧倒的にリチウムイオン電池が普及しました。
大容量キャパシタが後塵を排した原因は何故でしょう。理由は材料開発力の差です。蓄電デバイスですから体積当たりの蓄電容量を大きくする競争です。電気自動車の世界では「1時間の充電で300㎞走行」など話題になります。これが蓄電容量です。リチウムイオン電池の進化の大きな理由は世界的な材料技術の競争です。それでは大容量キャパシタはどうでしょうか?大容量キャパシタの主な電極材料はおなじみのヤシ柄から獲れる「活性炭」です。そうです、冷蔵庫の脱臭剤のヤシ柄活性炭です。この50年間に様々な活性炭に替わる材料が提案されてきましたが、実用となった材料はありません。
グラフェンカーボンナノチューブ
の登場
マテリアルイノベーションつくばは「活性炭」に替わる「グラフェンカーボンナノチューブ」を10年の歳月をかけて量産化に成功したのです。これまでグラフェンやカーボンナノチューブの蓄電デバイスへの提案は数限りなくありました。しかし、市場化した事例はありませんでした。
それではグラフェンカーボンナノチューブの大容量キャパシタの特性は従来のキャパシタとどのくらいの差があるのでしょうか。何と3倍から5倍の電気を蓄える事が出来るのです。
蓄電業界では電池の比較を「陸上選手」に例えます。100m、10,000m、42.195kⅿと陸上選手の鍛える筋肉は競技により違います。これまで従来の大容量キャパシタは100m選手でリチウムイオン電池は42.195km選手です。
グラフェンカーボンナノチューブ仕様のキャパシタは10,000km選手なのです。
期待される用途はロボット市場、ワイヤレス市場、通信インフラ市場などDX市場には必要不可欠な分野ばかりです。このグラフェンカーボンナノチューブキャパシタに大いに期待してください。